なぜ銀行のファンドラップは「堅実」でも大きな差が生まれるのか【理論編・具体化版】
銀行窓口の投資信託
10年後、実際どうなったのか?
― 三井住友信託ファンドラップを例に考える ―
はじめに|実在する商品で考えてみる
前回は、銀行窓口で購入する投資信託が
なぜ長期投資で不利になりやすいのかを
仕組みの面から説明しました。
今回は、もう一歩踏み込み、
実際に銀行で販売されている代表的な商品を例に考えてみます。
今回取り上げるのは
三井住友信託ファンドラップ
です。
これは決して珍しい商品ではなく、
「資産運用をプロに任せたい」という方に広く選ばれているものです。
三井住友信託ファンドラップとはどんな商品か
この商品は、いわゆるラップ口座と呼ばれるタイプで、
投資家はコースを選ぶだけ
実際の運用や資産配分は銀行側が行う
定期的な見直しも含めて「お任せ運用」
という仕組みです。
コースはいくつか用意されており、
今回確認したのは、
「8資産分散型・保守的」コース
でした。
「8資産分散型・保守的」コースの中身
資産配分を見ると、かなり堅実です。
国内債券:約3割
国内株式:約2割
外国株式:約2割
外国債券:約1割弱
J-REIT ほか
おおよそ、
国内資産が約半分
株式比率は抑えめ
値動きは小さいが、大きく増えにくい
という、
リスクを抑えた典型的な保守型ポートフォリオです。
この点だけを見ると、
「無理のない、妥当な選択」と言えます。
問題はやはり「手数料構造」
この商品の最大の特徴(=弱点)は
運用管理にかかる手数料です。
固定報酬型の場合
契約開始~2年
年率 最大1.760%(税込)
2年経過後
年率 最大1.232%
5年経過後
年率 最大0.880%
年数とともに下がっていく設計ではありますが、
それでも長期では決して低くありません。
年1%超の手数料が意味するもの
仮に、
投資額:1000万円
手数料:年1.5%前後
だとすると、
年間:約15万円
10年:約150万円以上
しかもこれは相場に関係なく必ず発生
というコストになります。
このコストは、
利益が出ている年
マイナスの年
どちらでも同じように差し引かれます。
実際の運用結果は「悪くない」が…
今回確認したケースでは、
2013年5月に1000万円で契約
約10年強で評価額は 約1300万円
つまり、
利益:約300万円
年率換算では 2~3%台
という結果でした。
保守的なコースとして見れば、決して悪くはありません。
元本割れもなく、
大きな値動きも避けられています。
では、なぜ「差」が問題になるのか
ここが一番大事なポイントです。
この結果は、
リスクを抑え
安定性を重視し
高い手数料を払いながら
得られたリターンです。
一方で、
同じ期間
同じ金額
低コストのインデックスファンド
(オルカンやS&P500など)
で運用していた場合、
もっと大きなリターンが出ていた可能性が高い
という事実があります。
これは運の問題ではなく、
コストと資産配分の差です。
「お任せ運用」の安心料は、いくら払う価値があるのか
ファンドラップは、
自分で考えなくていい
売買の手間がない
精神的に楽
というメリットがあります。
しかしその代償として、
年1%前後の継続コスト
長期で見ると数百万円~数千万円の差
が生まれる可能性があります。
この「安心料」を
高いと感じるか、妥当と感じるかは、
人それぞれです。
理論編まとめ|問題は商品ではなく「選択」
重要なのは、
三井住友信託ファンドラップが悪い
銀行窓口が間違っている
という話ではありません。
問題は、
「低コストで同等以上の選択肢が存在することを知らないまま選んでしまう」
ここにあります。
次回予告|実際の月次運用報告書で見てみる
次回は、
実際の月次運用報告書(個人情報は加工)
私自身のNISA運用実績
を並べて、
「同じ時代・同じ日本で、結果はどう違ったのか」
を具体的な数字で比較します。
理論が本当に現実に表れているのか、
一緒に確認していきたいと思います。

